予定納税はいくらから — 個人事業主の対象基準と納付時期 (令和8年分)
最終更新: 2026-07-20
目次
個人事業主は、前年の所得税の申告納税額が一定額を超えると、翌年の所得税を「予定納税」として年の途中に分割先払いします。確定申告で初めて大きな税額を経験した翌年に突然通知が来て戸惑うケースが多い制度です。この記事では令和8年分 (2026年分) の予定納税の仕組みを整理します。
要点 (令和8年分)
- 前年分の所得税 (復興特別所得税含む) の申告納税額を基に計算した予定納税基準額が15万円以上で予定納税が発生する
- 第1期 (7月31日まで) と第2期 (11月30日まで) にそれぞれ基準額の3分の1を納付する
- この試算条件 (大阪市・青色申告65万・経費60万/年・単身・40〜64歳) では売上630万円前後から基準額が15万円を超える
- 令和8年度の基礎控除引き上げ (2026年12月施行) は予定納税額の計算には反映されない
読み終えたら CashOnHand のシミュレータ で自分の売上・経費を入力して所得税の年額を確認できます。手取り全体の計算の流れは 個人事業主の手取り計算 にまとめています。
結論: 売上別の予定納税早見表
次の表は、大阪市・青色申告特別控除 65 万円・経費 60 万円/年・単身・40〜64 歳を前提にした CashOnHand 計算エンジンによる概算です。予定納税の実際の基準額は前年の申告納税額が使われますが、「当年の所得税が来年の基準になる」と仮定した参考値として掲載します。
| 売上 (税込) | 所得税年額 (概算) | 予定納税 | 第1期 (7月) | 第2期 (11月) |
|---|---|---|---|---|
| 500 万円 | 75,860 円 | 対象外 | — | — |
| 600 万円 | 130,688 円 | 対象外 | — | — |
| 700 万円 | 256,373 円 | 対象あり | 85,457 円 | 85,457 円 |
| 800 万円 | 413,402 円 | 対象あり | 137,800 円 | 137,800 円 |
| 1,000 万円 | 769,119 円 | 対象あり | 256,373 円 | 256,373 円 |
注: 大阪市・青色申告特別控除 65 万円・経費 60 万円/年・単身・40〜64 歳の試算条件では、所得税が 15 万円を超える境界は売上 630 万円前後です。経費・控除・年齢・世帯構成・居住地が変わると金額は大きく変わります。第1期・第2期はそれぞれ基準額の 3 分の 1 で、残りは確定申告で精算します。
→ 自分の売上・経費で試算する: シミュレータを開く
予定納税の仕組み — 前払い制度の概要
所得税は本来「その年の所得が確定してから確定申告で納付する」仕組みですが、前年の申告納税額が一定額を超えた場合、翌年の所得税の一部を年の途中に前払いするのが予定納税です1。
個人事業主・不動産所得者など、給与所得者以外の方が主な対象です。給与所得だけであれば年末調整で精算されるため、一般的に予定納税は発生しません。
予定納税基準額 — 15万円が判定ライン
予定納税が必要かどうかの判断基準が「予定納税基準額」です1。
予定納税基準額は、前年分の所得税・復興特別所得税の申告納税額をもとに計算した金額です。原則として税務署が計算して納税者に通知します。具体的には、前年分の所得のうち譲渡所得や一時所得など変動しやすい所得を除いて計算した申告納税額が基準となります。
この基準額が 15 万円以上 の場合、その年の 7 月と 11 月に予定納税の義務が生じます。
通知と納付時期
予定納税基準額は、原則としてその年の 6 月 15 日まで に税務署から書面またはe-Taxで通知されます1。
| 期 | 納付期限 | 納付額 |
|---|---|---|
| 第1期 | 7 月 31 日 | 予定納税基準額の 3 分の 1 |
| 第2期 | 11 月 30 日 | 予定納税基準額の 3 分の 1 |
| 確定申告 | 翌年 3 月 15 日 | 年税額 − 第1期 − 第2期の合計 |
第1期と第2期で合計基準額の 3 分の 2 を先払いし、翌年の確定申告で実際の年税額と照合して精算します。先払い合計が多ければ還付、少なければ追加納付となります。
減額申請について
廃業・休業・業況不振などにより当年の所得が前年より大きく減少すると見込まれる場合など、一定の要件に該当するときは予定納税額の減額申請ができます2。
| 期 | 申請期限 | 基準日の現況 |
|---|---|---|
| 第1期分の減額申請 | 7 月 15 日 | 6 月 30 日 |
| 第2期分の減額申請 | 11 月 16 日 | 10 月 31 日 |
申請には「予定納税額の減額申請書」を作成して所轄の税務署に提出する手続きが必要です。申請の要否や書類の作成方法は税務署または税理士に相談してください2。
令和8年度改正と予定納税
令和8年度税制改正では基礎控除の引き上げ (令和8年 12 月 1 日施行) が行われますが、この改正は予定納税額の計算には反映されません3。
令和8年 7 月・11 月の予定納税は改正前の規定に基づいて計算されます。基礎控除の引き上げ分は、令和8年分の確定申告 (2027 年 2〜3 月) で最終精算されます。前年より所得が大きく変わらない場合でも、確定申告時に還付が生じる場合があります。
よくある質問
予定納税はいくらから発生する?
前年分の所得税・復興特別所得税の申告納税額を基に計算した予定納税基準額が 15 万円以上になると発生します1。基準額の通知は 6 月 15 日までに税務署から届きます。
予定納税はいつ払う?
第1期分は 7 月 31 日まで、第2期分は 11 月 30 日までです。それぞれ基準額の 3 分の 1 ずつを納付します1。
予定納税の通知が届いていない場合は?
前年の申告納税額が 15 万円未満であれば通知は来ません。e-Tax を利用している場合は電子通知で届いている可能性もあります。不明な場合は税務署または税理士に確認してください。
確定申告をすると予定納税は精算される?
確定申告で計算した年税額と予定納税の先払い合計の差額を精算します。先払いが多ければ還付、少なければ追加納付となります。令和8年分は基礎控除の引き上げ分が確定申告で精算されるため、予定納税を納めた方は還付となる場合があります3。
自分の所得税年額を試算する
予定納税の基準額は前年の申告納税額です。CashOnHand のシミュレータなら、売上・経費・各種控除を入力するだけで令和8年分の所得税年額の概算を確認できます。
→ シミュレータを開く (登録不要・無料・ローカル動作)
手取り全体の計算の流れは 個人事業主の手取り計算 を参照してください。
注記・免責
本記事は令和8年分時点の一般的な情報であり、個別の税務の助言ではありません。予定納税基準額の計算・減額申請の要否については税務署または税理士に相談してください。早見表は CashOnHand の計算エンジンによる概算 (大阪市・青色申告特別控除 65 万円・経費 60 万円/年・単身・40〜64 歳) であり、実際の申告納税額とは異なります。税制は毎年改正される可能性があるため、最新情報は国税庁の公式サイトで確認してください。
最終更新: 2026-07-20
出典
Footnotes
-
国税庁「No.2040 予定納税」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2040.htm (最終確認 2026-07-20) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
国税庁「A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/02.htm (最終確認 2026-07-20) ↩ ↩2
-
国税庁「所得税及び復興特別所得税の予定納税(第1期分)の納税をお忘れなく (令和8年)」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/campaign/r8/Jul/02.htm (最終確認 2026-07-20) ↩ ↩2