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iDeCo の掛金上限引き上げはいつから — 個人事業主は月 75,000 円に (令和8年度)

最終更新: 2026-08-31

目次

個人事業主が加入できる個人型確定拠出年金 (iDeCo) は、毎月の掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になる制度です。令和8年(2026年)12月に第1号被保険者の掛金上限が引き上げられます。この記事では変更内容・施行時期・節税額の試算・合算ルール・流動性制約を整理します。

要点 (令和8年度)

  • 令和8年12月1日施行: 第1号被保険者 (個人事業主・フリーランス) の上限が月68,000円→月75,000円に
  • 年900,000円まで全額「小規模企業共済等掛金控除」で所得控除 (改正前は年816,000円)
  • 国民年金基金・付加保険料との合算枠が月75,000円 (改正前68,000円) に拡大
  • 掛金は原則として60歳まで引き出せない流動性制約がある
  • 節税効果は売上や控除の状況によって異なる — シミュレータ で試算できる

手取り全体の計算の流れは 個人事業主の手取り計算 を参照してください。

iDeCo 上限引き上げの概要 (令和8年12月施行)

令和8年(2026年)12月1日から、国民年金第1号被保険者の iDeCo 掛金上限が月75,000円に引き上げられます1。

区分改正前 (〜2026年11月)改正後 (2026年12月〜)
月額上限68,000円75,000円
年額上限816,000円900,000円
増加額月+7,000円 / 年+84,000円

対象は「国民年金第1号被保険者」、すなわち20歳以上60歳未満の自営業者・フリーランス・学生などです1。会社員や公務員 (第2号被保険者) は上限額が異なります。

引落タイミングについて: 2026年12月1日施行のため、2026年12月分の拠出から上限75,000円が適用されます。ただし実際の銀行口座からの引落日は加入している金融機関の処理タイミングにより、翌月 (2027年1月) になる場合があります。令和8年分の確定申告では、実際に支払った金額 (引落された月の合計) が控除の対象となります。

節税効果の早見表 (新宿区・単身・令和8年度)

iDeCo の掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます2。以下は CashOnHand の計算エンジンによる試算です。

計算条件: 新宿区・単身・40〜64歳・青色申告65万円・経費50万円/月。所得税と住民税の合計節税額を示します。

年間拠出額 (月額)売上400万円売上600万円売上1,000万円
12万円 (月1万円)18,126円24,252円36,504円
48万円 (月4万円)72,504円96,934円146,016円
81.6万円 (月6.8万円・現行上限)120,224円164,486円248,228円
90万円 (月7.5万円・改正後上限)124,324円181,375円273,780円

節税額は所得税と住民税の差分方式で算出しています。売上400万円のケースで月6.8万円を拠出すると所得税がゼロになるため、それ以上の拠出でも所得税の追加節税はありません。

なお、上表の「節税額」は税負担の軽減額であり、掛金の支出そのものが手元キャッシュから出ていきます。節税額と掛金支出は別に管理する必要があります。

→ 自分の売上・経費・居住地での試算は CashOnHand シミュレータ でご確認ください。

改正後の上限 (月7.5万円) を最大限活用すると

現行の月6.8万円 (年81.6万円) から改正後の月7.5万円 (年90万円) に増やした場合、追加で節税できる金額は以下のとおりです。

売上規模所得税の追加軽減住民税の追加軽減合計追加節税額
売上400万円0円 (所得税すでに0)4,100円4,100円
売上600万円4,289円12,600円16,889円
売上1,000万円17,152円8,400円25,552円

売上1,000万円の場合、上限引き上げによる追加の節税効果は年間約25,552円です。ただし追加拠出額 (84,000円) そのものは手元から出ていくため、手取りキャッシュへの影響は「節税額+追加拠出額」の差引で考える必要があります。

国民年金基金・付加保険料との合算ルール

第1号被保険者の掛金上限 (改正後: 月75,000円) は、iDeCo 単体 の上限ではなく、以下の合算額の上限です1。

  • iDeCo (個人型確定拠出年金) の掛金
  • 国民年金基金の掛金
  • 国民年金の付加保険料 (月400円)

計算例 (改正後): 国民年金基金に月20,000円拠出している場合、iDeCo に拠出できる上限は 75,000 − 20,000 = 55,000円/月 となります。付加保険料 400円を納付している場合も同様に差し引きます。

国民年金基金に加入していない場合は、iDeCo 単独で月75,000円まで拠出できます。加入している場合は、両者の合計が上限を超えないよう調整が必要です。

iDeCo の性質 — 掛金は60歳まで引き出せない

iDeCo は「老後資産形成」を目的とした制度であり、原則として60歳になるまで積み立てた資産を引き出すことができません1。これは小規模企業共済や通常の預貯金とは異なる重要な制約です。

掛金の拠出は任意であり「一時停止」は可能ですが、それまでに積み立てた資産の中途引き出しは国が定める一定の要件 (障害・死亡・要件を満たす脱退一時金など) を満たす場合に限られます。

iDeCo の節税効果は掛金の所得控除による税負担軽減であり、掛金そのものは手元から流出します。60歳まで使えない資金を拠出することで生じる流動性の制約と、その間に得られる税軽減・運用益の非課税効果を比較したうえで、拠出額を検討してください。具体的な判断は税理士やファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

確定申告での申告方法 (小規模企業共済等掛金控除)

iDeCo の掛金は確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」として申告します2。

  1. 控除証明書の受け取り: 毎年10〜11月頃、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が郵送されます
  2. 確定申告書への記入: 確定申告書 B (令和8年分) の「小規模企業共済等掛金控除」欄に、その年に支払った掛金の合計額を記入します
  3. 控除額: 支払った掛金の全額が控除されます (上限なし)

同じ「小規模企業共済等掛金控除」欄には、小規模企業共済の掛金もまとめて記入できます。

マイナポータル連携を利用している場合は、控除証明書のデータを電子的に取得できる場合があります。詳細は国税庁の確定申告書等作成コーナーをご確認ください3。

よくある質問

iDeCo の掛金上限引き上げはいつから?

令和8年(2026年)12月1日施行です。第1号被保険者 (個人事業主・フリーランス) の上限が月68,000円から月75,000円に引き上げられます1。

個人事業主の iDeCo 掛金上限は改正後いくら?

月額75,000円 (年900,000円) です。ただし国民年金基金や付加保険料との合算枠が月75,000円のため、これらを利用している場合は差し引いた金額が iDeCo の実質上限となります。

iDeCo の節税額はいくら?

掛金の全額が所得控除になるため、節税額は「掛金額 × (限界所得税率 + 住民税率10%)」の目安になります。売上600万円で年48万円拠出した場合、CashOnHand の試算では所得税・住民税合計で約96,934円の軽減です (新宿区・単身・令和8年度)。売上規模や控除状況により異なります。

iDeCo は途中でやめられる?

拠出の「一時停止」は可能ですが、積み立てた資産の引き出しは原則として60歳以降となります。脱退できる条件は法令で限定されています。詳細は加入先の金融機関または社労士に相談してください。

令和8年分の確定申告にはどう影響する?

令和8年分 (2026年1〜12月) の確定申告 (2027年2〜3月) では、実際に支払った掛金の全額が控除対象となります。2026年12月分から上限75,000円が適用されますが、引落が2027年1月の場合は「令和9年分」の控除として計上されることがあります。控除年度は実際の支払い日に基づくため、金融機関の案内を確認してください。

手取りを試算する

iDeCo の掛金控除は所得税と住民税の両方を下げる効果があります。ただし実際の節税額は、青色申告特別控除や社会保険料控除など他の控除との組み合わせによって変わります。

CashOnHand のシミュレータは、売上・経費・居住地・各種控除を入力するだけで令和8年度の所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料を合わせた手取りを試算できます。

→ シミュレータを開く (登録不要・無料・ローカル動作)

手取り計算の全体像は 個人事業主の手取り計算 を参照してください。

注記・免責

本記事は令和8年度時点の一般的な情報であり、個別の税務・資産形成の助言ではありません。iDeCo の制度詳細・拠出上限・運用商品は変更されることがあります。具体的な判断は税理士や社会保険労務士に相談してください。

最終更新: 2026-08-03

出典

Footnotes

  1. 厚生労働省「2025年の制度改正」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2025kaisei.html (確認 2026-08-03) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  2. 国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm (確認 2026-08-03) ↩ ↩2

  3. 国税庁「確定拠出年金法の個人型年金加入者掛金 (iDeCo の掛金) を支払った場合」 https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru/cat2/cat22/cat22d/cid470.html (確認 2026-08-03) ↩